ED治療を受けない大多数の患者

ED治療を受けない大多数の患者

話を矢口君のことに戻そう。実は取材の過程で、矢口君の症状についての見解を数人の専門医に求めた。もちろん直接診察はしていないのであくまで推測の範囲内の話であるが、「深刻な心因性であるが、かならず治る」という見解は一致していた。有効な治療法は’薬物療法と心理療法の二本立てというのも共通していた。薬剤はまず何ょりもバイアグラだ。バイアグラは器質性に効くイメージが強いが、心因性の有効率も大変高いのである(第二部に詳述)。要はバイアグラの力を借りて勃起を促進.維持し、挿入から射精までの「実锁」をつくることで自信を取り戻し、失敗を繰り返す不安を払拭するのが肝要とのこと。そして矢口君のょうに卜ラウマが深い圾合は、じつくりと時問をかけてカウンセリングを行い、傷ついた心を癒していくことも欠かせない。そこから精神的に立ち直つていくことこそ、治療の最終ゴールである。

私はこのことを矢口君に話した。ずいぶん神妙な顔をして問いていたが、残念ながら、その後も治療をまつたく受けていない。このあたりはKさんと同様である。

統計上でも治療を受けない患者が圧倒的に多い。日本性機能学会理事長の白井將文氏ら四人の専門医が二〇〇〇年四月に実施したアンケート調査では、EDを自覚している男性のぅち、「勃起や射精の問題で医師に相談した経験がある人の割合は四•八パーセントでしかない。また、ファィザー製薬の推計による と、バィアグラの発売時の一九九九年三月から十八力月間で、同薬を処方された新規患者数は約三十七万人である。約一千万人の潜在的患者数に当てはめると四パーセント程度であり、先のアンケート調査とほぼ一致する。この状態が続くのならば、どれほど素晴らしい特効薬が開発されたとしても、大半のED治療には結びつかないことになる。

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