挿入直前の悪夢

挿入直前の悪夢

 

田島さんは高卒後、機械工になつた。不良仲間と縁を切ることはなく、毎晩のょぅに遊び回っていた。友人の紹介で右翼団体の轉部と知り合ってからは、もってぱらそちらの活動に叮ち込 み、街宣などに駆り出されると、パンチパーマに特攻服を着込んではり切つた。幹部連中にひどく気に入られ、事務所に居候してスナックやクラブに付いていくぅちに、派手なホステス遊びを覚えた。

 

二十歳を迎える頃には、いくつもの店で「顔」になり、何人ものホステスに入れ込んだ。幹部連中も呆れるほど稂極的だった。ママであっても新人ホステスであってもこれと思ったら猪突猛進してアタックした。そして幹部連中も羡むほどもてた。

 

ところが、ホステス嬢とプラィべ丨どな交際を始めても、すぐに別れてしまうのがォチだった。理由は単純明快。十六歳からのED勃起不全をそのまま放置しておいたからだ。お互いに盛り上がって性関係係まで進展するのだが、揷入の段階になると田島さんのほうが物理的にも精神的にも萎えてしまい、気まずくて白けたムードが漂った。それを何度も繰り返しているうちになんとなく自然消滅というのがほとんどのパタ丨ンだった。

 

「セックスに関しては、いい思い出はぜんぜんない。最初痛い思いをしたし、その後は途中で萎えてきちやうし、あとはやってる最中で酔っ払って寢ちやって覚えてないとか、そういう思 い出しかないの。いいィメージが一個もないのよ」

 

二十二歳のとき、ある新人ホステスに一目惚れした。頻繁に店に通い、彼女を指名して、熱心に口説いた。彼女のほうも気があるらしく、阳島さんのデートの誘いに乘った。店外で会うとすぐに、公園でべッティングをするくらいの閲係にまでなったが、ホテルへ行くのは彼女がかたくなに拒み続けていた。ある晚、田島さんは彼女に店を休ませてデーどをした後、強引に自宅に速れ込もうとした。彼女はドアの前で「私、敷居またげないの!」と泣き出した。そして彼女は結婚していることを告白した。

 

「ショックだったね、けっこうマジで惚れていたから。でも、俺、ますます燃えちやってさ。絶対に奪ってやろうと思ったんだ」

 

しかし彼女の夫が浮気に気づいてしまった。不良少年あがりのトラック運転手で、田島さんの自宅に電話をかけては、「おまえたちがいっしょになっても、俺が絶対に幸せにさせない。一生仕返ししてやる!」などと恐喝した。なかなかの迫力だった。しかし阳烏さんはその手の恐喝には惯れ切っているので、ぜんぜん動揺しないどころか、ますます情熱をかき立てられた。

 

夫が夜勤の日に、田島さんは彼女をふたたび飲みに誘い出した。勝負をかけると決めていた。彼女を酔わせて家まで送ったとき、彼は強引に中に入ろうとした。すると意外にも、彼女はなんの抵抗もせずに、彼をすんなり家に入れた。ふたりで焼酎を飲みながら、あれこれ話しているうちに、妖しいムードになつてきた。

 

「旦那は帰ってこないのわかつているし、ふたりっきりの世界になったら、やっぱりそういうことになるじやん。で、俺よりも彼女のほうが盛り上がってきて、近づいてきたんだ。ようやく念願が叶、っって感じだったね」

 

ところが、服を脱いで抱擁をしてと事が進むにつれて田島さんの興奮は高まっていったものの、「そろそろ入れなきや」と思ったら、潮がひくように興奮が冷めてきた。ペニスにしても最小こそ元気よく立っていたが、揷入のときになると急にしぼんできた。すると、目前で悶えている女性が突然「淫らな女」「醜い女」として映り、その意識が頭から離れなくなつて続行不可能になった。

 

「ああ、またか、って思ったね。そぅなると、すべてやる気なくなつちゃぅんだょ。セックスだけじゃなく、恋愛そのものもね」

 

その晚は泥酔したふりをして、寝込んでしまつた。そしてそれ以降もセックスの機会はあったが、もはや田島さんが盛り上がることはなかつた。最初は我慢していた彼女も明らかに失望 している様子だった。そしてどちらからともなく別れ話をして、スリリングだつた不倫関係はあつけなく蘇を閉じた。

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